朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」六月
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより六月の季語「梅の実」、花「芍薬」、江戸の味「飛魚のくさや」です。
【特選】
飛び魚や海も空もおのがもの 和子
胸をはって大空を飛ぶ飛魚の心意気(!)を感じさせる爽快な一句。中七(六)の字足らずが勢いに欠けるので工夫したいところ。「大海も空も我がもの飛魚かな」など。
【入選】
定年の男手帳に梅仕事 勇美
梅干しや梅酒を作る作業全般をさす「梅仕事」という言葉は、ここ数年テレビなどでもよく耳にするようになりました。歳時記にはまだ載っていないと思いますが、もう載ってもいいかもしれません。そのためには歳時記に載るような名句が必要(!?)。句は定年を迎えた男性を少しからかっています。現役時代の癖でまだまだ手帳が手放せない様子。手帳に呼応する「仕事」が活きています。
縦走の足に優しきチングルマ 和子
長い尾根歩きで疲れた足とチングルマを詠んでいます。中七は少々無理があり伝わりにくいのではないでしょうか。しっかり伝わる表現を工夫したいところ。「縦走の靴の重たしチングルマ」など。
しなやかにゴーヤ伸びゆく校舎かな 勇美
「校舎かな」とした俳句の形は立派ですが、「しなやかに」がこの句の場合は弱い。色々置けますので、中七下五がより活きる言葉を探してみてください。
来し方のやがて煌めくなめくぢり 勇美
「やがて」が句を間延びさせてしまっているのが惜しいですが、「煌めく」は思いきりました。阿波野青畝に「来しかたを斯くもてらてらなめくぢら」があります。
東京に生まれ育ちて飛魚とぶ 光枝